被災地の新築事情
先日のブログで記しましたように
東松島市や
仙台市では、
浸水した所有地を市が買い上げる価格目安が発表になりました。意外に高く買い取ってくれるものだと感心しました。
とは言え、それは評価あっての買い上げ価格設定なのでしょうから、
市町村によっては格差が生じる可能性は否めません。
さて、被災地で住まいを失った方々は、
仮設住宅や
公営住宅に入居していると思いますが、この方々の
新築住宅取得希望のデータが発表されていました。データは岩手県のものです。
「高台などに新たな家を購入したい」と答えた方が、7月に同様のアンケートをとったときより、
1割も減って37%(仮設住宅居住者)だったそうです。なかなか進まぬ行政の青写真に心の迷いが見えた結果だったようです。
そして、その新しい家への
転居時期は
「半年~2年先」を選んだ方がこれまた
1割減で20%、
「いつ転居できるか未定」という方が
大幅に増えて30%近い数字となっているそうです。被災された方々の苦悩が見て取れます。
そして仮設住宅に住まわれている方の
世帯年収は300万円以下が66%、
その中の48%が200万円以下となっていました。つまり、
3割の方々は世帯年収が200万円以下ということになります。
この年収を元に計算し、新たな住宅を手に入れようと考えが萎えてしまうのも分かるような気がします。
世帯年収が200万円以下となると
住宅ローンを組むのも一筋縄ではいかなくなる可能性があります。そうすると、持ちえる
現金で買わざるを得ません。行政がいい値段で土地を買い上げてくれ、支援金や義捐金、補助金、保険金を集めて
1,000万円~1,300万円と言ったところでしょうか。
全ての費用を入れてこの価格で建てるとなると、
効率を追求しきったローコスト住宅ビルダーしかできないよう気もします。
それよりも何よりも、そのローコストで
職人が集められるかどうかの方が問題です。
これから益々職人は集められなくなるでしょう。現在でも職人の
手間賃はほとんど言い値になりつつある
売り手市場です。
請け負う方としても
少しでも請け負い額と利幅のある住宅から手がけたいのは市場の原理というものです。
現地でやりたいという工務店があれば、何とか私どものノウハウを提供してあげたいとも思うのですが、
現地の工務店でも事情は一緒なのでしょう。
被災された方々にはお気の毒ですが、安住のマイホームを再建できるのには、もう少し時間がかかりそうです。